flex:フレックス・アイテムの伸縮率や基準となる寸法を指定する

初期値 各プロパティの初期値
適用対象 フレックス・ボックス・レイアウトのフローに属するフレックス・アイテム
継承 しない
アニメーション 各プロパティの値に基づく
対応ブラウザ caniuseで確認

flexプロパティの説明

CSSのflexプロパティは、フレックス・アイテムの伸縮率や基準となる寸法を指定します。これにより、フレック・スアイテムをフレックス・コンテナの中にどのように収めるのか、伸長や収縮の量を決定します。

フレックスとは、CSSのレイアウト・モデルの一種であるフレックス・ボックス・モジュール(Flexible Box Module)の略称です。displayの値にflexを指定された要素が、その仕様に従って内容をレイアウトします。その機能の一部であるflexは、flex-growflex-shrinkflex-basisの値を一括で指定するショートハンド・プロパティです。

flexに指定できるのは、各プロパティを制御する1〜3つの値です。書く順序はflex-growflex-shrinkflex-basisでなければなりません。複数の値を指定する場合は、半角スペース区切りで記述します。

flexに指定できる値

auto
アイテムの寸法はwidthheightプロパティによって目安を提示します。アイテムはコンテナのサイズに合わせて収縮し、空き領域がある場合は伸長して埋めようとします。この挙動はflex: 1 1 auto;の時と同じです。
initial
アイテムの寸法はwidthheightプロパティによって目安を提示します。アイテムはコンテナのサイズに合わせて収縮しますが、空き領域があっても伸長して埋めようとはしません。この挙動はflex: 0 1 auto;の時と同じです。
none
アイテムの寸法はwidthheightプロパティによって定まります。アイテムはコンテナのサイズに合わせて収縮したり、空き領域を埋めるために伸長することをしません。この挙動はflex: 0 0 auto;の時と同じです。
<'flex-grow'>
flex-growプロパティの値を定義します。アイテムが伸長する倍率を指定します。コンテナに含まれるアイテムを並べた時に、余白が余る場合は各アイテムに指定されたflex-growの値に従って、自動的に幅を調整してコンテナの余白を埋めます。初期値は0です。
<'flex-shrink'>
flex-shrinkプロパティの値を定義します。アイテムが伸縮する倍率を指定します。コンテナに含まれるアイテムを並べた時に、基準値の幅に収まり切らない場合は各アイテムに指定されたflex-shrinkの値に従って、自動的に幅を調整してコンテナに収まるように縮みます。初期値は1です。
<'flex-basis'>
flex-basisプロパティの値を定義します。アイテムの幅の基準となる値を指定します。省略した場合は0となり、autoを指定した場合は、アイテムのコンテンツサイズに調整されます。初期値はautoです。

flexの使い方とサンプルコード

flexプロパティの構文は以下の通りです。


/* キーワード値 */
flex: auto;
flex: initial;
flex: none;

/* flex-grow */
flex: 1;
flex: 2;

/* flex-basis */
flex: 50px;
flex: 10rem;
flex: min-content;

/* flex-grow | flex-basis */
flex: 1 50px;
flex: 2 30rem;

/* flex-grow | flex-shrink */
flex: 1 3;
flex: 2 2;

/* flex-grow | flex-shrink | flex-basis */
flex: 1 1 100px;
flex: 2 2 20%;

/* グローバル値 */
flex: inherit;
flex: initial;
flex: revert;
flex: unset;

flexの実例

それでは実際にflexプロパティの書き方を見ていきましょう。以下の例では、幅100pxのアイテムを並べて、キーワードの値を変更した場合の挙動を確認できます。

resizeに対応しているブラウザであれば、コンテナのサイズを変更できます。コンテナの右下に表示されるハンドルを掴んで、横幅を伸縮させてみて下さい。


<div class="flex_box">
	<div class="flex_item auto">auto</div>
	<div class="flex_item auto">auto</div>
	<div class="flex_item auto">auto</div>
</div>

<div class="flex_box">
	<div class="flex_item initial">initial</div>
	<div class="flex_item auto">auto</div>
	<div class="flex_item auto">auto</div>
</div>

<div class="flex_box">
	<div class="flex_item initial">initial</div>
	<div class="flex_item auto">auto</div>
	<div class="flex_item none">none</div>
</div>

<div class="flex_box">
	<div class="flex_item initial">initial</div>
	<div class="flex_item initial">initial</div>
	<div class="flex_item none">none</div>
</div>

.flex_box {
	overflow: auto;
	display: flex;
	gap: 1rem;
	margin-top: 1rem;
	padding: 1rem;
	background: #eee;
	resize: horizontal;
}
.flex_item {
	width: 100px;
	padding: .3rem;
	background: #09f;
	color: #fff;
}
.auto {
	flex: auto;
}
.initial {
	flex: initial;
}
.none {
	flex: none;
}

ここでは以下の内容について理解を深めましょう。コンテナの幅を極端に狭めた時、アイテムはどのような挙動を示したでしょうか。今回はコンテナの主軸が横方向であるため、幅を対象に説明しますが、副軸を対象にする場合や主軸を垂直に変更した場合は、当然アイテムの高さが変動します。

  • autoは、空き領域があれば埋めようとし、コンテンツの幅まで縮まる。widthで指定したサイズはあくまで目安として機能する。
  • initialは、widthで指定した幅を基準にするが、コンテナが狭まればコンテンツの幅まで縮まる。
  • noneは、widthで指定した幅を守り、サイズ変更を行わない。

アイテムの最小幅について

アイテムの最小幅は内容の専有領域であるコンテンツボックスに制限されます。これを変更して最小幅を指定する場合は、min-widthを記述します。対象が高さの場合は、min-heightを指定して下さい。

先ほどのサンプルにmin-width: 0;を追加したアイテムの挙動です。コンテナの幅を狭めて、コンテンツに接触すると、そのまま貫通します。

キーワード以外の値を指定する

flexにキーワード以外の値を指定する場合、順序とその解釈は以下の通りになります。

1つの値
最初の値は字数でなければなりません。この値はflex-growに該当します。この場合、flex-shrinkの値は1flex-basisの値は0として解釈されます。
2つの値
2つ目の値は実数または幅を表す単位付きの数値でなければなりません。実数の場合はflex-growとして扱われ、幅の場合はflex-basisとして扱われます。残された値は、値が1つの時と同様に解釈されます。
3つの値
3つ目の値は幅を表す単位付きの数値でなければなりません。2番目に幅を指定していた場合は、順番を繰り下げて3つめの値にします。

flexに関連するCSSプロパティ

段組み・カラムレイアウト
align-content コンテナの交差軸または列方向に余白がある場合にアイテムの並べ方を指定する
align-items コンテナに含まれる全てのアイテムに対して揃える位置を指定する
align-self コンテナに含まれるアイテムの位置揃えを個別に指定する
columns 段組み要素に関するプロパティを一括で指定する
column-count 段組み要素の内容を分割する数を指定する
column-fill 段組み要素の高さに対して内容をどのように分配するかを指定する
column-gap コンテナに配置されたアイテム同士の列方向の隙間を指定する
column-rule 段組み要素の罫線のスタイルを一括で指定する
column-rule-color 段組み要素の段と段の間に引かれる罫線の色を指定する
column-rule-style 段組み要素の段と段の間に引かれる罫線の形状を指定する
column-rule-width 段組み要素の段と段の間に引かれる罫線の太さを指定する
column-span 段組み要素の中で全ての段にまたがるレイアウトを指定する
column-width 段組み要素の段に対して目安の幅を指定する
flex フレックス・アイテムの伸縮率や基準となる寸法を一括で指定する
flex-basis フレックス・アイテムの基準となる寸法を指定する
flex-direction フレックス・コンテナの主軸方向やアイテムの並び方向を指定する
flex-flow フレックス・コンテナがアイテムをレイアウトするフローをまとめて指定する
flex-grow フレックス・アイテムが伸長する倍率を指定する
flex-shrink フレックス・アイテムが収縮する倍率を指定する
flex-wrap フレックス・コンテナに入り切らないアイテムの折り返し方法を指定する
gap コンテナに含まれるアイテム同士の隙間を指定する
grid-area グリッド・アイテムの配置に関する基準を一括で指定する
grid-auto-columns 暗黙的に作成されたグリッド列のサイズを指定する
grid-auto-flow グリッド・アイテムがトラックに配置される方法を指定する
grid-auto-rows 暗黙的に作成されたグリッド行のサイズを指定する
grid-column-end グリッド・アイテムの配置に関して列方向の終了位置を指定する
grid-column-start グリッド・アイテムの配置に関して列方向の開始位置を指定する
grid-column グリッド・アイテムの配置に関して列方向の位置や寸法を一括で指定する
grid-row-end グリッド・アイテムの配置に関して行方向の終了位置を指定する
grid-row-start グリッド・アイテムの配置に関して行方向の開始位置を指定する
grid-row グリッド・アイテムの配置に関して行方向の位置や寸法を一括で指定する
grid-template-areas グリッド・コンテナの中に名前つきのグリッド・エリアを作成する
grid-template-columns 明示的な列方向のグリッド・トラックを定義する
grid-template-rows 明示的な行方向のグリッド・トラックを定義する
grid-template グリッド・レイアウトのテンプレートに関する指定をまとめて行う
grid グリッド・レイアウトに関するコンテナのプロパティを一括で指定する
justify-content コンテナの主軸または行方向に余白がある場合にアイテムの並べ方を指定する
order フレックスやグリッドのコンテナに並ぶアイテムの順序を指定する
orphans ページや段組みカラムの最下部に表示されるブロックの最小行数を制御する
row-gap コンテナに配置されたアイテム同士の行方向の隙間を指定する