grid-auto-flowプロパティの説明
CSSのgrid-auto-flow
プロパティは、グリッド・レイアウトの中でアイテムがトラックに配置される方法を指定します。この機能は、コンテナが作成したトラックに対して、アイテムをどのように並べていくのかを制御します。
指定できる値は単一のキーワードか、半角スペースで区切った2つのキーワードです。省略した場合は、書字方向と同じ向きに自動的に配置されます。
grid-auto-flowに指定できる値
row
- アイテムは行トラックを順番通りに埋めて配置され、必要に応じて暗黙の行トラックを追加します。これが初期値です。
column
- アイテムは列トラックを順番通りに埋めて配置され、必要に応じて暗黙の列トラックを追加します。
dense
- グリッドの空白をできるだけ早くアイテムで埋めようとします。これは高密度なパッキングアルゴリズムと表現されます。場合によってはアイテムが順不同で並びます。
grid-auto-flowの使い方とサンプルコード
grid-auto-flow
プロパティの構文は以下の通りです。
/* キーワード値 */
grid-auto-flow: row;
grid-auto-flow: column;
grid-auto-flow: dense;
grid-auto-flow: row dense;
grid-auto-flow: column dense;
/* グローバル値 */
grid-auto-flow: inherit;
grid-auto-flow: initial;
grid-auto-flow: revert;
grid-auto-flow: unset;
grid-auto-flowの実例
それでは実際にgrid-auto-flow
プロパティの書き方を見ていきましょう。以下の例では、行と列に2つのグリッド・トラックを持つコンテナを扱います。ここにアイテムを5つ並べた場合、grid-auto-flow
の値が初期値のrow
であれば、行方向に沿って順番通りに配置されます。言い換えると、アイテムはインライン方向に向かって並びます。
<div class="grid_box">
<div id="item_1">1</div>
<div id="item_2">2</div>
<div id="item_3">3</div>
<div id="item_4">4</div>
<div id="item_5">5</div>
</div>
.grid_box {
overflow: auto;
padding: 1rem;
background: #eee;
text-align: center;
resize: horizontal;
display: grid;
grid-template: repeat(2, 1fr) / repeat(2, 1fr);
grid-auto-columns: 200px;
grid-auto-flow: row;
gap: 10px;
}
.grid_box > div {
padding: .3rem;
border: 1px solid #666;
background: #09f;
color: #fff;
}
#item_1 {
background-color: #f60;
}
#item_2 {
background-color: #fc0;
}
#item_3 {
background-color: #6f0;
}
#item_4 {
background-color: #09f;
}
#item_5 {
background-color: #60f;
}
一見すると何の特徴もない凡庸なグリッド・レイアウトですが、明示されたグリッドに対してアイテムの数が超過しているために暗黙のグリッドが発生しています。それでは、コンテナに指定されている
grid-auto-flow
の値をcolumn
に変えてみます。どのように表示されるでしょうか。
今度は列方向に沿ってアイテムが順番通りに配置されました。言い換えると、ブロック方向に向かって並んでいます。並ぶ方向に従い追加される暗黙のグリッドの位置も変化しているのが分かります。
では、アイテムに個別の位置指定を加えた場合の挙動を確認します。1つ目のアイテムにgrid-row-start
プロパティを加えて列方向の2番目のグリッド・ラインに配置します。同じようにアイテムの4番目にgrid-row-end
プロパティを加えて行方向の2
番目のグリッド・ラインに配置します。grid-auto-flow
はrow
に戻します。
1つ目のアイテムはボックスは開始位置がrow
方向の2番目に指定されています。4つ目のアイテムはボックスの終了位置がrow
方向の2番目に指定されています。そのため、お互いの順序が入れ替わり、それ以外のアイテムを押しのけるように配置されています。
これと全く同じ状態で、grid-auto-flow
の値をcolumn
に変更すると、どのように表示されるでしょうか。
コンテナがアイテムを並べるフローが列から行へと変わりました。ここで注目すべき点は、グリッドに空の領域が発生したことです。このような状況で空白を詰めて配置したい場合にdense
が役立ちます。この値は単体で使用することもできますが、row dense
やcolumn dense
のようにオプションとして付け加えることができます。
上記の内容にdense
を追加すると、移動可能なアイテムが空白を埋めようとします。グリッドの中で配置位置を固定したいアイテムと、移動しても問題ないアイテムが混在しているレイアウトなどで有効な手段となるはずです。
.grid_box {
overflow: auto;
padding: 1rem;
background: #eee;
text-align: center;
resize: horizontal;
display: grid;
grid-template: repeat(2, 1fr) / repeat(2, 1fr);
grid-auto-columns: 200px;
grid-auto-flow: column dense;
gap: 10px;
}
.grid_box > div {
padding: .3rem;
border: 1px solid #666;
background: #09f;
color: #fff;
}
#item_1 {
grid-row-start: 2;
background-color: #f60;
}
#item_2 {
background-color: #fc0;
}
#item_3 {
background-color: #6f0;
}
#item_4 {
grid-row-end: 2;
background-color: #09f;
}
#item_5 {
background-color: #60f;
}
<div class="grid_box">
<div id="item_1">1</div>
<div id="item_2">2</div>
<div id="item_3">3</div>
<div id="item_4">4</div>
<div id="item_5">5</div>
</div>