grid-row-startプロパティの説明
CSSのgrid-row-start
プロパティは、グリッド・レイアウトの中でアイテムを配置する祭に行方向の開始位置を指定します。このプロパティは、display
プロパティの値にgrid
を指定されたグリッド・コンテナの子要素に対して使用します。
アイテムの配置には、グリッド・ラインやグリッド・エリアを指定できます。これらはコンテナ側のトラックで定義されたものであり、grid-row-start
はアイテムをグリッドのどの位置にフィットさせるのかを決定するものです。
類似のプロパティには以下のものがあります。それぞれの機能を使ってアイテムの位置や寸法を個別に制御できます。
- 行方向の開始位置:
grid-row-start
- 行方向の終端位置:
grid-row-end
- 行方向の一括指定:
grid-row
- 列方向の開始位置:
grid-column-start
- 列方向の終端位置:
grid-column-end
- 列方向の一括指定:
grid-column
grid-row-startに指定できる値
auto
- アイテムの配置を自動で行います。プロパティは行方向の並びに関与しません。間隔は自動的に決まるか、既定値の
1
となります。 <custom-ident>
- 名前付きのグリッド・エリアがある場合に、その名称を指定すると
<custom-ident>-start
という名前の付いた線が暗黙で定義されます。または、あらかじめそのような線が用意されている場合、指定された線の先頭がグリッド・アイテムの配置に関わります。 <integer> && <custom-ident>
- 名前付きのグリッド・エリアや線がある場合に、何番目か位置指定を行い配置に使用します。負の数が指定された場合は、逆方向にカウントして明示的なグリッドの末尾の端から始めます。
span && [<integer> || <custom-ident>]
- アイテムの開始位置が終了位置から数えて何番目のグリッドになるのかを指定します。
<custom-ident>-start
として名前が与えられた場合、その名前の付いたグリッド・ラインのみがカウントされます。該当する線が十分に存在しない場合、検索方向に対応する全ての暗黙的なグリッド・ラインが、その区間をカウントするために名前を持つものとみなされます。
grid-row-startの使い方とサンプルコード
grid-row-start
プロパティの構文は以下の通りです。
/* キーワード値 */
grid-row-start: auto;
/* <custom-ident>値 */
grid-row-start: area_name;
/* <integer> <custom-ident> */
grid-row-start: 2;
grid-row-start: area_name 4;
/* span <integer> <custom-ident> */
grid-row-start: span 3;
grid-row-start: span area_name;
grid-row-start: 3 area_name span;
/* グローバル値 */
grid-row-start: inherit;
grid-row-start: initial;
grid-row-start: revert;
grid-row-start: unset;
grid-row-startの実例
それでは実際にgrid-row-start
プロパティの書き方を見ていきましょう。以下の例は、grid-template
で4
つのグリッド・エリアを作成したコンテナの中に、5つのアイテムを並べたものです。明示したグリッドよりもアイテムの数が多い場合は、暗黙的なグリッド・ラインが自動的に作成されます。
<div class="grid_box">
<div id="item_1">1</div>
<div id="item_2">2</div>
<div id="item_3">3</div>
<div id="item_4">4</div>
<div id="item_5">5</div>
</div>
.grid_box {
overflow: auto;
padding: 1rem;
background: #eee;
text-align: center;
resize: horizontal;
display: grid;
grid-template: repeat(2, 1fr) / repeat(2, 1fr);
grid-auto-columns: 200px;
gap: 10px;
}
.grid_box > div {
padding: .3rem;
border: 1px solid #666;
background: #09f;
color: #fff;
}
#item_1 {
background-color: #f60;
}
#item_2 {
background-color: #fc0;
}
#item_3 {
background-color: #6f0;
}
#item_4 {
background-color: #09f;
}
#item_5 {
background-color: #60f;
}
通常は記述した順序でアイテムが並びますが、grid-row-start
を使って特定のアイテムの配置位置を変えてみます。1つ目のアイテムのボックスの開始をコンテナの下側に寄せるようにgrid-row-start: 3;
を追加します。
グリッド・ラインはグリッド・エリアの開始位置と終了位置の両方に作成されるため、コンテナを2つに分割した場合は、合計で3本のグリッド・ラインが指定対象となります。つまり、ここで指定した3
は明示的にコンテナに引かれたグリッド・ラインのうち、一番下のものを意味します。
このように、1つ目のアイテムが下側へ寄せて配置されました。他のプロパティは操作していないため、大きさを維持したまま移動しています。同時に、暗黙のグリッド・ラインに押し出されていた5番目のアイテムが、明示されたエリアに収まりました。
ちなみに、grid-column-end
を追加して3
を指定すると、列方向にアイテムが移動します。
このように、特定のアイテムをグリッドに配置する祭に、任意の場所を指定することができます。行を対象にするのか、列を対象にするのか、アイテムの開始位置を基準に指定するのか、終了位置を基準に指定するのか、その場面に合ったやり方で自由に操作できます。
他にも、グリッド・エリアの名前を指定して配置する方法があります。まず、コンテナに指定したgrid-template-areas
でグリッドのエリア名を定義します。その名前を使って各アイテムの配置を定めています。ここで紹介する内容は、少し過剰な記述となっています。これは個々のプロパティの役目を直感的に理解するためです。実際に使用する場合は、冗長な箇所を推敲する必用があります。
<div class="grid_box">
<div id="item_header">header</div>
<div id="item_main">main</div>
<div id="item_nav">nav</div>
<div id="item_footer">footer</div>
</div>
.grid_box {
overflow: auto;
padding: 1rem;
background: #eee;
text-align: center;
resize: horizontal;
display: grid;
grid-template-areas: "header header"
"main nav"
"footer footer";
grid-template-rows: 50px 1fr 50px;
grid-template-columns: 1fr 150px;
gap: 10px;
}
.grid_box > div {
padding: .3rem;
border: 1px solid #666;
background: #09f;
color: #fff;
}
#item_header {
grid-row-start: header;
grid-row-end: header;
grid-column-start: header;
grid-column-end: header;
background-color: #f60;
}
#item_main {
grid-row-start: main;
grid-row-end: main;
grid-column-start: main;
grid-column-end: main;
background-color: #fc0;
min-height: 150px;
}
#item_nav {
grid-row-start: nav;
grid-row-end: nav;
grid-column-start: nav;
grid-column-end: nav;
background-color: #6f0;
min-height: 100px;
}
#item_footer {
grid-row-start: footer;
grid-row-end: footer;
grid-column-start: footer;
grid-column-end: footer;
background-color: #09f;
}