grid-auto-rows:暗黙的な行方向のグリッド・トラックを定義する

初期値 auto
適用対象 グリッド・コンテナ
継承 しない
アニメーション 離散値
対応ブラウザ caniuseで確認

grid-auto-rowsプロパティの説明

grid-auto-rowsは、グリッド・レイアウトの中で暗黙的な行方向のグリッド・トラックを定義します。これは、grid-template-rowsプロパティでグリッド・トラックの寸法を明示できない場合、あるいはアイテムの数が事前に把握できず流動的な動作を期待する場合に有効です。

グリッドには、列方向のグリッド・トラックと行方向のグリッド・トラックがあり、それが交差することによってグリッド・エリアが確定します。本プロパティで操作できるのは行トラックの寸法と数です。画面上ではアイテムの高さに関与します。

列トラックの寸法はgrid-auto-columnsで指定します。また、暗黙的なグリッドが作成される方向を決める場合は、grid-auto-flowを使用して下さい。

grid-auto-rowsに指定できる値

<length>
CSSで使用できる長さを表す単位付きの値です。負の値は使用できません。
<percentage>
コンテナの寸法を基準にした割合を示す値です。コンテナのブロック方向の寸法が不定の場合は、autoと同等の効果となります。負の値は使用できません。
<flex>
frの単位で示すフレックス係数を用いた値です。コンテナの領域に余白があれば、残りの空間をフレックス係数の割合に比例してアイテムに分配します。
max-content
グリッド・トラックを占有しているアイテムの中で、コンテンツの寸法が最大のものを参照します。
min-content
グリッド・トラックを占有しているアイテムの中で、コンテンツの寸法が最小のものを参照します。
minmax(min, max)
min以上、max以下の寸法を定義する関数です。minよりもmaxの方が小さい場合、maxは無視されminとして扱われます。
fit-content( [ <length> | <percentage> ] )
トラックの寸法がautoの最小値を上回る場合に引数で固定、それ以外はautoとして動作します。この挙動はmin(max-content, max(auto, argument))という式を表しています。
auto
トラックの寸法を自動で計算します。

grid-auto-rowsの使い方とサンプル

grid-auto-rowsプロパティの構文は以下の通りです。

CSS
/* キーワード値 */
grid-auto-rows: auto;
grid-auto-rows: min-content;
grid-auto-rows: max-content;

/* <length>値 */
grid-auto-rows: 100px;
grid-auto-rows: 20rem;
grid-auto-rows: 30vmax;

/* <percentage>値 */
grid-auto-rows: 15%;
grid-auto-rows: 33.33%;

/* <flex>値 */
grid-auto-rows: 1fr;
grid-auto-rows: 3fr;

/* minmax() */
grid-auto-rows: minmax(100px, auto);
grid-auto-rows: minmax(1fr, max-content);
grid-auto-rows: minmax(20%, 50vmax);

/* fit-content() */
grid-auto-rows: fit-content(300px);
grid-auto-rows: fit-content(16rem);
grid-auto-rows: fit-content(20%);

/* multiple track-size */
grid-auto-rows: min-content max-content auto;
grid-auto-rows: 100px 150px 300px;
grid-auto-rows: 1fr 33.3%;
grid-auto-rows: minmax(100px, auto) minmax(1fr, max-content) minmax(20%, 50vmax);

/* グローバル値 */
grid-auto-rows: inherit;
grid-auto-rows: initial;
grid-auto-rows: revert;
grid-auto-rows: unset;

grid-auto-rowsの実例

それでは実際にgrid-auto-rowsプロパティの書き方を見ていきましょう。以下の例では、コンテナにgrid-template-areasonetwoというエリア名を定義していますが、トラックの寸法は確定していません。そこにgrid-auto-rowsを追加し、暗黙的なグリッドの大きさを指定します。エリアの数が2つであるのに対してアイテムの数が3つあるので、自動的に配置が折り返されます。

表示確認
CSS
.grid_box {
	overflow: auto;
	padding: 1rem;
	background: #eee;
	text-align: center;
	resize: vertical;
	display: grid;
	grid-template-areas: "one two";
	grid-auto-rows: 50px;
	gap: 10px;
}
.grid_box > div {
	padding: .3rem;
	border: 1px solid #666;
	background: #09f;
	color: #fff;
}
HTML
<div class="grid_box">
	<div>Item</div>
	<div>Item</div>
	<div>Item</div>
</div>

これが何の役に立つのかと言うと、grid-template関連のプロパティでグリッド・トラックやグリッド・エリアのサイズが指定されていた場合に、そこに収まりきらなかったアイテムの大きさを個別に制御できる点です。

以下の例は、grid-templateで行の方向へ2箇所、列の方向へ2箇所のサイズ指定を行っています。そのため、4つのアイテムまでは明示された値に従って配置が行われますが、それ以上のアイテムが存在する場合は自動的に暗黙のグリッドが作成されます。何も指定しなければ、アイテムの寸法は既定値で表示されますが、grid-auto-rowsで高さを確定させておくと、製作者側の期待通りの寸法で表示させることができます。

表示確認
CSS
.grid_box {
	overflow: auto;
	padding: 1rem;
	background: #eee;
	text-align: center;
	resize: vertical;
	display: grid;
	grid-template: 50px 50px / 100px 1fr;
	grid-auto-flow: row;
	grid-auto-rows: 100px;
	gap: 10px;
}
.grid_box > div {
	padding: .3rem;
	border: 1px solid #666;
	background: #09f;
	color: #fff;
}
HTML
<div class="grid_box">
	<div>1</div>
	<div>2</div>
	<div>3</div>
	<div>4</div>
	<div>5(暗黙)</div>
	<div>6(暗黙)</div>
</div>

grid-auto-rowsに関連するCSSプロパティ

段組み・カラムレイアウト
align-content コンテナの交差軸または列方向に余白がある場合にアイテムの並べ方を指定する
align-items コンテナに含まれる全てのアイテムに対して揃える位置を指定する
align-self コンテナに含まれるアイテムの位置揃えを個別に指定する
columns 段組み要素に関するプロパティを一括で指定する
column-count 段組み要素の内容を分割する数を指定する
column-fill 段組み要素の高さに対して内容をどのように分配するかを指定する
column-gap コンテナに配置されたアイテム同士の列方向の隙間を指定する
column-rule 段組み要素の罫線のスタイルを一括で指定する
column-rule-color 段組み要素の段と段の間に引かれる罫線の色を指定する
column-rule-style 段組み要素の段と段の間に引かれる罫線の形状を指定する
column-rule-width 段組み要素の段と段の間に引かれる罫線の太さを指定する
column-span 段組み要素の中で全ての段にまたがるレイアウトを指定する
column-width 段組み要素の段に対して目安の幅を指定する
flex フレックス・アイテムの伸縮率や基準となる寸法を一括で指定する
flex-basis フレックス・アイテムの基準となる寸法を指定する
flex-direction フレックス・コンテナの主軸方向やアイテムの並び方向を指定する
flex-flow フレックス・コンテナがアイテムをレイアウトするフローをまとめて指定する
flex-grow フレックス・アイテムが伸長する倍率を指定する
flex-shrink フレックス・アイテムが収縮する倍率を指定する
flex-wrap フレックス・コンテナに入り切らないアイテムの折り返し方法を指定する
gap コンテナに含まれるアイテム同士の隙間を指定する
grid-area グリッド・アイテムの配置に関する基準を一括で指定する
grid-auto-columns 暗黙的に作成されたグリッド列のサイズを指定する
grid-auto-flow グリッド・アイテムがトラックに配置される方法を指定する
grid-auto-rows 暗黙的に作成されたグリッド行のサイズを指定する
grid-column-end グリッド・アイテムの配置に関して列方向の終了位置を指定する
grid-column-start グリッド・アイテムの配置に関して列方向の開始位置を指定する
grid-column グリッド・アイテムの配置に関して列方向の位置や寸法を一括で指定する
grid-row-end グリッド・アイテムの配置に関して行方向の終了位置を指定する
grid-row-start グリッド・アイテムの配置に関して行方向の開始位置を指定する
grid-row グリッド・アイテムの配置に関して行方向の位置や寸法を一括で指定する
grid-template-areas グリッド・コンテナの中に名前つきのグリッド・エリアを作成する
grid-template-columns 明示的な列方向のグリッド・トラックを定義する
grid-template-rows 明示的な行方向のグリッド・トラックを定義する
grid-template グリッド・レイアウトのテンプレートに関する指定をまとめて行う
grid グリッド・レイアウトに関するコンテナのプロパティを一括で指定する
justify-content コンテナの主軸または行方向に余白がある場合にアイテムの並べ方を指定する
order フレックスやグリッドのコンテナに並ぶアイテムの順序を指定する
orphans ページや段組みカラムの最下部に表示されるブロックの最小行数を制御する
row-gap コンテナに配置されたアイテム同士の行方向の隙間を指定する