アウトラインとは
アウトラインとは、文章が持つ章や節や項といった構造を機械的に表す言葉です。日本語に意訳すると文章の「輪郭」と言えます。これは言語学と構造主義の分野で発展した概念で、平面的に書かれた文字列に立体的な階層構造を与えるメタ情報でもあります。
文章として書かれた文字には見出しや段落、章や節といった役目がありますが、それらは目に見えない観念的なものであり、機械はこれを把握できません。人間は認識や解釈といった能力を持っているので、言語の構造を自然と理解できます。アウトラインは、文章の階層構造を機械的に翻訳したものだと言えます。
HTML文書のアウトラインには、「暗黙的なアウトライン」と「明示的なアウトライン」の二種類があります。
暗黙的なアウトライン
HTMLはプレーンなテキストにタグでマークアップすることで暗黙的な構造を与えます。例えば、見出し(<h1>〜<h6>
)と段落(<p>
)を使えば、文章に大まかな構造を与えられます。
<body>
<h1>文書の主題</h1>
<p>前書きやキャッチフレーズ。</p>
<h2>章の見出し</h2>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
<h3>節の見出し</h3>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
<h3>節の見出し</h3>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
<h2>章の見出し</h2>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
</body>
人間は、あくまで「文書の主題」といった字面を読み取ったり、配置された箇所や文字の太さや大きさで文字列の役割りを判断します。それを機械は一律のデータとしてしか扱わないので、HTMLによってマークアップする必用があるのです。
上記のように記述した内容には、暗黙的にアウトラインが与えられます。<body>
の後に続く最初の見出しである<h1>
は、その文書の表題であることを表します。さらに、次に見出しが記述された場所から格付けによって階層が与えられます。
これは事前にブラウザに組み込まれたアルゴリズムを前提としています。ウェブ制作者は、その解釈を手助けする情報を与えているのです。
明示的なアウトライン
見出し要素によって生成されたアウトラインは、前後の関連性から暗黙的に導き出されたもので、その間に含まれる段落がどの見出しに属するのか曖昧な部分が残ります。そこでアウトラインを明示的に記述するために、新たな要素が考案されました。
それが「セクショニング・コンテンツ」というカテゴリで、<head>
や<body>
と同じように、階層に属する要素を丸ごと囲んでしまうアプローチを取ります。
セクショニング・コンテンツによって、暗に見出しで区切っていた階層が、構造的にマークアップできるようになりました。つまり、文章の構造をどのように解釈すべきか、制作者の側から指示できるようになったのです。
<body>
<article>
<h1>文書の主題</h1>
<p>前書きやキャッチフレーズ。</p>
<section>
<h2>章の見出し</h2>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
<section>
<h3>節の見出し</h3>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
</section>
<section>
<h3>節の見出し</h3>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
</section>
</section>
<section>
<h2>章の見出し</h2>
<p>内容を表すテキスト。内容を表すテキスト。</p>
</section>
</artice>
</body>
見出しや段落は、文字そのものに格付けを与えるタグです。それに対してセクショニング・コンテンツは「独立した記事」の範囲や「章そのもの」の範囲を指定します。
<article>
や<section>
は、まさにそれを定義するタグです。これらの要素が文章のアウトラインを指定するセクショニング・コンテンツとなります。
セクショニング・コンテンツ
セクショニング・コンテンツは文書のアウトラインを明示するための要素です。これらの要素を使い分けることで、文章の構造を明確に指定できます。このカテゴリに属するタグは以下の四つになります。
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