border-imageプロパティの説明
CSSのborder-image
プロパティは、要素の外周に引かれる境界線(border
)に画像を表示させます。ここで指定された画像は、border-style
で定義された境界線の代わりに表示されます。
境界線の画像は、前提として要素に境界線の専有幅が用意されていなければ表示されません。つまり、border-style
の値がnone
以外であり、border-width
の値が1px
以上である必用があります。
border-image-source
の値がnone
、あるいは何らかの理由で画像が表示されなかった場合は、border-style
に指定された方法が優先されます。そのため、境界線に画像を使用する時でも、必ずborder
関連のプロパティを併記しておいて下さい。
border-image
は、以下の機能をまとめて指定するショートハンド・プロパティです。境界線に画像が表示されるまでのプロセスは以下の通りです。
border-image-source
で画像を読み込むborder-image-slice
で画像を素材として扱えるように分割するborder-image-width
で分割された画像を表示する幅が決まるborder-image-outset
で境界線の縁からはみ出す距離が決まるborder-image-repeat
で画像の伸縮や並び方が決まる
border-imageに指定できる値
<border-image-source>
- 境界線の画像を指定する値です。ソース元となる画像をURLで呼び出します。それ以外では、グラデーションやキーワードの
none
が使用できます。詳細はborder-image-source
を参照して下さい。 <border-image-slice>
- 境界線の画像を分割する値です。最大で4つの値を指定できます。詳細は
border-image-slice
を参照して下さい。 <border-image-width>
- 境界線の画像を表示する幅を示す値です。最大で4つの値を指定できます。これはあくまで画像の縮尺を示すものであり、境界線の専有幅を変える場合は
border-width
の値を変更します。詳細はborder-image-width
を参照して下さい。 <border-image-outset>
- 境界線の画像が要素の縁からどの程度はみ出すのかを示す値です。これにより、境界線が確保している領域から外側へ向かって画像が移動します。負の値は無効です。詳細は
border-image-outset
を参照して下さい。 <border-image-repeat>
- 境界線の画像に対して伸縮や並び方の指定をする値です。値がひとつ指定された場合は、四辺を同時に操作します。値が二つ指定された場合は、上下の辺と左右の辺を個別に操作します。詳細は
border-image-repeat
を参照して下さい。
border-imageの使い方とサンプルコード
border-image
プロパティの構文は以下の通りです。
/* source | slice */
border-image: url("image.png") 10;
border-image: url("image.png") 10 25%;
border-image: linear-gradient(cyan, magenta) 30;
border-image: linear-gradient(cyan, magenta) 30 fill;
/* source | slice | repeat */
border-image: url("image.png") 10 repeat;
border-image: url("image.png") 10 stretch;
/* source | slice | width */
border-image: url("image.png") 10 / 5px;
border-image: linear-gradient(cyan, magenta) 20 / 10%;
/* source | slice / width / outset | repeat */
border-image: url("image.png") 30 / 30px / 15px round;
border-image: url("image.png") 32 16 / 30px 1rem / 15px .5rem space;
/* グローバル値 */
border-image: inherit;
border-image: initial;
border-image: revert;
border-image: unset;
border-imageの実例
それでは具体的な書き方を見てみましょう。ここでは、30pxのひし形で構成された縦横90pxの画像を使います。
まず初めに、要素に境界線を表示させるための下準備を行います。単純な<div>
要素にborder
プロパティで幅10pxの境界線を指定すると、以下のように表示されます。
この境界線に先ほどの画像を配置してみましょう。境界線に使用する画像は、border-image-source
の値で呼び出します。最初からショートハンド・プロパティを使うと、各機能の仕組みを十分に把握しきれないため、専用のプロパティを使って説明します。
境界線の幅は10pxです。そこに90pxの画像が無理やり配置されました。画像を指定しただけでは全てが初期状態であるため、四隅にひとつだけ表示されることになります。
次に、画像をスライスして境界線に表示する範囲を決めなくてはなりません。画像の分割範囲は、border-image-slice
で定義します。ここでは、ひし形の模様に合わせて上下左右30pxの共通範囲でスライスします。
謎の模様が表示されました。なぜこのような状態になるのかと言うと、border-image-repeat
の機能が有効になり、初期値が反映されたからです。ここから、画像のパターンに合わせて各プロパティを調整していくことになります。
画像に描かれている模様は30pxのひし形です。そこで、このサイズに合わせて境界線の幅を見直し、繰り返し表示されるパターンに変更します。
これで最低限の状態が整いました。border-image-width
は、border-width
で定義された境界線の専有幅の上で、画像をどの程度の幅で配置するかを指定するプロパティです。つまり、border-image-width
だけを指定しても、境界線そのものの範囲は変わらない点に注意して下さい。上記の例では、この二つを同じ値にしています。
border-image-outset
は、境界線の外周から画像がどの程度はみ出すかを指定するものです。例えば、画像の一部を要素の外に出して装飾としての見栄えを作る時などに有効です。ただし、要素の大きさ自体は変わらないため、他の要素との干渉に気をつける必用があります。
ここまでの内容を見ると、タイル状に並んだ模様の切れ目が気になります。そこで、境界線の幅を模様の半分に落として、繰り返し表示するパターンを並べて比較します。
このように、境界線に使用する画像の大きさと表示する範囲を工夫すれば、色々な模様を作り出すことができます。各プロパティの仕組みを理解したら、ショートハンド・プロパティでまとめることも可能です。以下の例は、全く同じ装飾を示しています。これを参考に、画像を変えてオリジナルの境界線を作って下さい。