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ギャンブルにハマる人たちの心理を利用する「リーチ目の法則」

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リーチ目

あなたはパチンコやパチスロをやったことがありますか?

私は、一時期パチスロにハマっていた時期があります。当時は学習すれば勝てると思っていて、半分は思い込み、半分はそういう時代だったので、熱心に攻略法を勉強しては実践していました。今はもうやっていませんし、二度とハマることはありませんが、経験として早いうちにやっておいて良かったなと思います。

勝った時のあの独特な感覚や、負けた時のどうしようもない感じは、実際にやったことのある人にしか分からない世界です。体感として「ハマったらヤバい」ということの本質が分かるのも、やはり実際にやったことがある人なのです。

今回は、過去の経験で得られた感覚を元に、学習した結果分かったことを紹介します。

リーチ目の法則とはなにか

「リーチ目の法則」とは、かつてパチスロ仲間だった友人と当時を振り返って話していたときに生まれた言葉です。一言で言うと「ある報酬が得られることを確信した瞬間が一番気持ちいい」というものです。

人は、今まで地道に積み上げてきた努力や苦労が報われると、それまで溜め込んでいた疲れやストレスを一気に吹き飛ばすほどの快感を感じるようにできています。パチンコやパチスロは、この心理を巧みに利用して巨大ビジネスとなりました。この法則は、ギャンブルに限らず日常の至る所で出くわすことになります。

例えば

  • 気になる人をデートに誘ってOKしてくれた瞬間は、実際にデートしているときよりも気持ちいい
  • プレゼントが貰えることが分かった瞬間は、実際に貰ったときよりも嬉しい
  • トイレを我慢していて救われるのは、実際に間に合ってからではなく、間に合うことが約束されたとき

と言ったものです。

このように、脳が短期的に強い刺激を受けるのは「実際に報酬が手に入ったとき」よりも「報酬が得られることを確信した瞬間」の方が先であり、その方がより印象に残りやすいのです。

これらは、「確信」と「獲得」までがほぼ同時で、微妙なタイムラグでしかない場合もあります。問題は、報酬は物理世界で獲得するものなのに対して、確信は精神世界の段階で起こることにあります。これを分かっていないと、いつの間にか「リーチ目の法則」に振り回されて、思わぬ結果を招くことになるかも知れないのです。

パチスロの仕組みについておさらい

ここで「リーチ目の法則」という表現を理解するために、パチスロのリーチ目についておさらいしておきましょう。

一般的なパチスロでは、「7」を3つ揃えると大当たりとなりボーナスゲームに突入します。たまに、「目押しが上手い人は7を狙って揃えられる」と勘違いしている人もいますが、スロットはレバーを叩いた瞬間に抽選を行い、その時引き当てた「フラグ」によって揃う役が決まるようになっています。当然「ハズレフラグ」を引いた場合は、どんなに正確な目押しを行っても何も揃えることができません。

パチスロは、何かしらのフラグが成立すると、アバウトな目押しでも近隣の役を引き込んでくれる「スベリ」という現象が発生します。そのため、リプレイやベルなどの子役であれば、リールの中に沢山配置してあるので、適当に押しても勝手に揃う構造になっています。

しかし、「7」や「BAR」などの大当たり役は、スベリの限界(基本4コマ)を超えて配置されているため、それらを揃えるには目押しが必要になってくるのです。

ところで、なぜスロッターは「7」を目押しすべきときが分かるのでしょうか?それは、内部で大当たりのフラグを引いた後の出目にヒントがあるからです(大当たり確定などの分かりやすい演出が発生することもありますが、ここではリーチ目について説明します)。

通常、フラグは目に見えません。そのため、スロッターはレバーを叩いた瞬間に自分が何の役を引いたのかを知ることが出来ず、リールを止めてみて初めて結果が分かるようになっています。

スロッターは、大当たりフラグを引くまでに延々とハズレ目や子役目を見ることになります。それこそ何百回、何千回と停止したリールを目にしているのです。

その時、普段絶対に出ない組み合わせでリールが停止することがあります。いつもと違う出目が突然目の前に現れるため、とても違和感のある景色に見えることもあります。これが「リーチ目」です。

リーチ目は、内部的に大当たりフラグが成立した場合に、機械が当たり絵柄を揃えようと(もしくは成立していない役を避けようと)した結果、通常とは違う組み合わせでリールが止まる現象のことです。

初心者の場合は、リーチ目に気付かずにそのまま回し続けて、大当たり確定演出が発生したときに、やっと大当たりフラグが成立していることに気付くことが殆どです。中級者になると、「何かおかしいな?」と違和感を感じて、一応目押ししてみたら揃ったというパターンになりやすいです。それが、上級者になると、リーチ目を暗記しているため、リーチ目が出た瞬間に大当たりフラグを引いたことが分かるようになります。

大当たりフラグが内部的に成立していて、ボーナス絵柄を揃える権利が与えられた瞬間 ──これがスロッターにとって極めて強い快感になるのです。

ここに「リーチ目の法則」があります。

「リーチ目の法則」を利用した3つのポイント

日常の中で遭遇する「リーチ目の法則」は、たいしてリスクのあるものではありません。デートの予定が決まったり、プレゼントが貰えることが分かれば誰でも嬉しいものです。そして、「リーチ目の法則」は、一回で終わりではなく、いくらでも連続的に起こりえるものです。例えば、プレゼントが貰えることが分かった後、貰えるプレゼントの内容が自分の一番欲しかったものだと分かれば、より強い「リーチ」になります。

しかし、ギャンブルや課金型のゲームなどは、意図的に「リーチ目の法則」を利用してプレイヤーが熱中するようにできています。そしていつしか冷静な判断ができない状態になり、ハマってしまうと人生に悪影響を及ぼすようになってしまうのです。

そうならないためには、「リーチ目の法則」の存在を知っておくことが有効です。ゲームで負けるのは感情に流されてしまう人です。理性をしっかりコントロールし、合理的に考えれば後悔する可能性を減らすことができます。

これから、ギャンブルにおける「リーチ目の法則」を利用した3つのポイントを紹介します。一つ目は「報酬のすり替え」、二つ目は「偽物の確信」、そして三つ目が「現実以上の期待」です。

報酬のすり替え

ギャンブルが危険なのは、実際に得られるリターンではなく、「リターンが得られることを確信した気持ちよさ」を追い求めて勝負するようになってしまうからです。そのため、冷静さを欠いた不合理な行動に出てしまい、結果的に痛い目を見るハメになってしまうのです。

スロッターは、リーチ目を見た瞬間に気持ちよさのピークを向かえ、その後は冷静に目押しをして、淡々とボーナスゲームを消化していきます。それを繰り返していくうちに、いつの間にかリーチ目を見るために打つような行動に走り始めてしまいます。

本来、手持ちのコインを一枚でも多くすることが目的のはずですが、雑な目押しでコインを無駄にしても気にしなくなってしまいます。また、疲れを感じていたり、回収不能な状況になっても、リーチ目見たさに続けてしまい、結果的に負けを積み上げるだけに終わってしまうこともあります。

このように、止め時を見誤ったり、負け戦に興じてしまうような行動が、ギャンブルに依存する人の特徴です。彼らは、いつの間にか実際のリターンよりも脳内へ放出される快楽物質(ドーパミンなど)を求めて行動するように変えられてしまいます。そうやって、「報酬のすり替え」が行われるのです。

偽物の確信

報酬のすり替えによって、リーチ目を見た瞬間のスロッターは、まだ何も得ていないのに勝手に気持ちよくなってしまいます。これはリスクを正当に評価していない証拠でもあります。投資家とギャンブラーの違いは、この辺りに表れると言っても良いでしょう。

パチスロのリーチ目の場合は、確実に大当たりフラグを引いたと言い切ることが出来るかも知れませんが、見間違えや勘違いは起こるものです。ゲームのルールに例外が存在するかも知れません。その「リーチ目」を他の分野に当てはめた時、その確信がどれだけ信頼できるかは未知数です。

報酬が確定するのは、実際に手に入れた場合の結果であって、確信には不確実性が含まれています。結果は過去、確信は未来。過去は変化しませんが、未来は変わる可能性があります。世の中には常に変化しています。一瞬先は闇なのです。

まだ勝ちが確定していないのに確信してしまう状態は危険です。その先に大きな落とし穴が待っているかも知れないからです。それを意図的に仕込んでくるのがギャンブルです。

本当の確信を何度も味わうと、偽物の確信が見えなくなります。そして偽物の確信を一度味わうと、諦めるどころか、次こそは本物だと思って続けてしまうようになります。そうやってギャンブルに依存していくのです。

現実以上の期待

私たちは、「リーチ目」の段階で過剰に期待してしまい、実際に報酬を手に入れてみると、期待外れでガッカリするというパターンに遭遇することがあります。

人はなぜガッカリするのかと言うと、事前の期待値がその後起こる現実を上回っているからです。その期待は自分で作り出した幻想であるにも関わらず、当然期待通りのことが起こるであろうと確信してしまうことが失望の原因です。

実態のない幻想はいくらでも大きく魅力的にすることができます。大きく膨らんだ期待は、どんなことをしてでも手に入れたいと思うようになります。それは、欲しい物を安く手に入れる目的でオークションを始めたのに、いつの間にか落札すること自体が目的になってしまうようなことです。そこで手に入れたものは、本当に落札額を支払うだけの価値があるものなのでしょうか。本来の価値に、期待値が上乗せされて高くついているのではないでしょうか。

ギャンブルは「報酬が得られることの確信」を何度も体験させて、その気持ちよさに依存させてしまうパワーを持っています。何度も繰り返すことによって期待値は高まり、期待値そのものが現実味を帯びてくるようになります。そうすると、判断基準が曖昧になり、冷静な評価ができない状態になってしまうのです。

「射幸心を煽る」とは、この心理を利用して、報酬を得られる「かもしれない」ポイントをいくつも用意して、過剰な期待を作り上げることです。

パチスロでは、客がリーチ目を見る前にゲームを止めてしまわないように、「リーチが確定する一歩手前に来たことが確定した」ような演出を巧妙に仕掛けて気分を盛り上げてきます。報酬が得られるまでの過程の中で、「あと少しだよ!」「今ここまで来てるよ!」というシグナルを発し、段階的に小さなリーチ目を与えていくのです。そうすると、「もう少しやってみようかな」「せっかくここまで来たんだし」といって、根拠のない勝負をしてしまうようになります。

私たちは間違いを嫌う生き物です。今まで積み重ねてきたものが台無しになることを恐れています。最後には自分の判断が正しかったことにしてもらわないと困るのです。だからこそ、今まで自分がやってきたことが間違いではなかったと証明されることは、人の内面で起こる自己正当化という物語の究極のカタルシスなのです。

その「自己満足」で得た報酬と、それを得るために差し出した代償を冷静に比較したとき、失望せずにいられるでしょうか。ギャンブルは、そこで得られる報酬に比べて、差し出す代償があまりにも大きくなり過ぎてしまうことがあります。それを冷静に判断できなくするのが、「リーチ目の法則」への依存なのです。

リーチ目の法則を知るメリット

私たちは、知らず知らずのうちに衝動に突き動かされて行動していることがあります。その中で、「リーチ目の法則」を知れば、悪い方に作用しそうな衝動を抑えることができます。

まず、「リーチ目の法則」に振り回されている状態は、リスクにさらされている可能性があるということを理解することです。そうすれば、無謀な勝負を避けたり、無駄な浪費を減らしたりすることが出来るようになります。

それから、確信と獲得の間にタイムラグがあることを意識し、期待と現実にギャップが生まれないように注意することで、失望を免れる可能性が高まります。

これを機会に、パチンコをやらない人にも、「リーチ目の法則」を覚えておいて欲しいと思います。この知識を持っていれば、ギャンブルに限らず、オンラインゲームやソーシャルゲーム、投資やビジネスの世界でも、きっと役立つ瞬間がくるはずです。

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