今だから言える10年前の自分にお願いしたいこと

2012/10/22
10年後の自分のために今の自分ができること

過去は変えられないからこそ人は教訓を得ることができる。変えられない過去があるからこそ人は成長を実感できる。

振り返ってみると、10年という時が過ぎ去るのはあっという間でした。今思えばあれこれ言いたいことはありますが、それは結果論でしかありません。それでも、今までの教訓を活かして10年前の自分に何かを伝えるとしたらどんなことでしょうか。

これは、今どこかにいるかもしれない「過去の自分」に向けて書いたエントリー。

テレビ見てる時間を読書か映画鑑賞に当ててくれ

とにかく、当時の自分は時間の大切さというものを知らなかった。やっているようで実は密度が薄かった。暇は潰すものだと思っていた。

今なら言える。潰す暇なんてどこにも無いぞ、と。

例えば、平均して1日に3時間テレビを見ているとしたら、毎日映画1本分と読書に1時間使うことができる。恐らく細切れ時間を足すと、もっとテレビを見ている時間は長いが、まとまった時間を取れるのはこんなものだろう。それを週5日のペースで1ヶ月間続けると、映画20本、本を4~5冊程度見ることができる。

1年間に換算すると約240本の映画鑑賞と約60冊分の読書量を実現できる。これを10年間続ければとんでもない量の知識と教養を手に入れることができただろう。

映画だけでなく、アニメやドラマでもいい。そこに一つの文脈が流れていて、その作品世界を想像であれこれいじって遊べる形になっているものがいい。そうやって自分の頭に取り込んだ世界観は、そのまま視野の広さと発想の柔軟性に還元される。

テレビ番組は、そういった文脈や世界観が存在しない。刹那的に時間をやり過ごすことには向いているが、細切れにされた映像は記憶に残らないし、何も生み出さない。子供の頃に憧れたヒーローは覚えていても、一週間前に見たバラエティ番組の内容は思い出せないものだ。

そして、テレビ番組は情報の密度が恐ろしいほど薄い。読書やネットならたったの10分で得られる結論や知識を、1時間の番組に引き伸ばして流す。しかも半分はCMである。これではいくら時間があっても足りない。

一連のまとまった作品に含まれる文脈や世界観の蓄積は、考え方の土壌を作り、思想や美学を生み出してくれる。そこで育んだ価値観が、自分の行動に反映されて、生き方を決めていくのだ。

形に残らないものにこそお金を使ってくれ

10年前に買ったものが、いったいいくつ手元に残っているだろうか。手元に残っていて、未だに使っているものはいくつあるだろうか。そうやって考えてみると、かつてあれほど大切にしていた物は、大して価値が無かったのかもしれない。

物が必要ないと言っているわけではない。物が果たしてくれる役割を冷静に評価して、機能に見合った対価を支払おうとする心がけが大事なのである。逆に体験を伴った物や、体験を豊かにしてくれる物には、惜しげもなくお金を使っていいだろう。

10年前を振り返ってみれば分かる。思い出の引き出しにしまってあるのは、いつだって経験と感情なのだ。私たちが最も大切にするのは、物よりも記憶なのである。

見栄や衝動で買ったものは、ちょっとした気分の変化で直ぐにゴミ箱逝きとなる。最新の家電製品は、買った瞬間に中古となる。

旅をしよう。美味しい物を食べよう。仲間と遊ぼう。

人が死ぬときに思い出すのは、多分そういうものなのだから。

何でもいいから形に残ることをしておけ

形に残らないことにお金を使う分、形に残ることに時間を使おう。何だって構わない。趣味で写真を撮ってもいいし、絵を描いてみるのもいい。文章を書いたり、曲を作ってレコーディングしてみるのもいいだろう。

とにかく、継続して蓄積させることが大事だ。まとまりは、それだけで価値を生む。素人の風景写真1枚では大した価値にはならないが、100枚、1000枚単位になってくると、集合体としての価値を持つようになる。

最初から上手にできる人なんていない。初めは誰だって初心者だったのだ。その代り、誰もがクリエイティブになれる。どうせなら、誰かが作った物の消費者に留まるのではなく、自ら創造する側へ回ろう。

世の中に提示できる何かを持っていると、自分に自信が持てるようになる。そして、あなたが何者なのか他人に表現する要素にもなる。

人は、肩書や実績で他人を理解する。それが手っ取り早いからだ。大人になればなるほど、「仲良くなる」時間はなくなっていく。何も持っていなくても、性格を把握し「こいつはこういうヤツだから」と理解してくれるのは、古い友人くらいのものだ。

大人になってから出会った人は、相手に対して分かりやすいキーワードを探そうとする。風景写真を1000枚撮った人とか、似顔絵100枚描いた人とか、そういった事実から、バックグラウンドを想像し、その人のキャラクターを決める。だからこそ、社会で生き残っていくためには、分かりやすい肩書や実績が必要なのだ。

「風景写真を1000枚撮ったAさん」が、いつの間にか「写真を頼むならAさん」となり、そういう些細なことが、仕事や人間関係につながっていくのである。

これだけは押さえておいて欲しい3つのポイント

こうやって改めて並べてみると、今の自分に対しても教訓として忘れないでいて欲しい要素が書かれています。他にも細かい事を挙げれば切りがないのですが、大きく分けて以下の3つのポイントに気を付けるだけでも、10年後の未来は良い方向へ変わるのではないかと思います。

だから私は「過去の自分」にこの3つのポイントを伝えたい。

  • テレビ見てる時間を読書か映画鑑賞に当ててくれ
  • 形に残らないものにこそお金を使ってくれ
  • 何でもいいから形に残ることをしておけ