「あなたはストロー」今まで自分に何を通してきたのか?

2012/10/31
ストロー理論

「ストロー理論」というものを紹介しましょう。

シンプルで地に足のついた生き方をするには、毎日の生活習慣を少しずつ良い方向に変えていく必要があります。日常の改善すべき点は、ちょっとした意識によって簡単に変えることができるものです。その一つが「ストロー理論」です。

今回は、気分や考え方をリフレッシュしたいときに読んで欲しいエントリー。ちなみに「ストロー理論」とは、私と友人が会話の中で勝手に作った言葉なのでググっても出てきません。

あなたは今までに何を通してきたのか

人の成長結果は、あらゆるものを“通す”ことによって成されます。例えば、有害な空気を吸いながら生きている人よりも、綺麗な空気を吸って生きている人の方が、健康に育つというものです。

水や食べ物は口を通して吸収します。会話や音楽は耳を通して伝わります。景色や映像は目を通して認識します。そして、人は体験を通して学び、成長していきます。

あなたは、今まで自分に何を通してきましたか?

人が生まれてから、どのような人物に育っていくのかは、その人に与えられた環境によって変化します。周りの環境から得られるものを体に通すことで、自分の考え方や肉体が作られていくのです。

甘いものや脂っぽいものばかりを体に流し込んでいれば、血液がドロドロになって血管が詰まってしまうでしょう。他人の悪口や不平不満ばかり聞いていると、やがてネガティブな思考になってしまうでしょう。更に、人為的な建物や同じような景色ばかり見ていると、いずれ心が曇ってしまうことでしょう。

普段、自分に何を通しているのかということを、ほとんどの人が意識していません。その結果、本人が気付かないうちに、悪い方へと向かっていることがあります。

そのことを思い出すためのトリガーとして、「ストロー」という言葉を使います。「自分はストロー」というメタファーを用いることによって、変なモノを通さないように気を付けようという習慣が生まれるのです。

これから自分に何を「通す」のか

さて、自分に何を通すのか意識するようになったら、少し過去を振り返ってみましょう。

価格に惑わされて、安物を掴まされたことがありませんか?少しの手間を面倒に感じて妥協していませんか?限りある人生の中で、今まで自分がしてきた行動に満足できますか?

毎日の他愛もない小さな積み重ねが、今の自分を形成しているのだとしたら、これから自分に何を通すべきか、一度立ち止まって考えてみると良いでしょう。

美しい景色を眺めて目の保養をしてみましょう。澄んだ空気の中で深呼吸してみましょう。健康的なものをゆっくり味わって食べてみましょう。好きな音楽を聴いてのんびり過ごしてみましょう。楽しい会話をして笑いましょう。

一度に多くのことをやる必要はありません。わざわざ遠くへ行く必要もありません。日常のちょっとした時に、自分にとって良いと思えるものを体に通そうという意識があれば十分です。

毎日1つやってみるだけなら、それほど難しくないはずです。少しずつ改善していくことを意識して実行してみましょう。むしろ、これくらいのことが普通に出来ない生活は、何かがおかしいと思った方がいいでしょう。

きれいな“ストロー”を維持するために

複雑な社会で、シンプルに生きることは難しいかもしれません。将来に対する不安や、現状に満足できない漠然とした気持ちは、誰もが持っているものです。全てを解決できる魔法のような方法はありませんが、日常の当たり前を少し改善するだけで、きっと未来は変えることがでるはずです。

下記の著書で分子生物学者の福岡伸一氏は、人体を「チクワのようだ」と表現しています。著者はこの本の中で、私たちが体内だと思っている部分も「外側」であるという興味深い見解を示します。

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか – 福岡伸一

生命とは、絶え間ない流れの中にある動的なものである。読んだら世界がちがってみえる。哲学する分子生物学者が問う「命の不思議」。今まで体験したことのないサイエンス・ストーリー。

動的平衡2 生命は自由になれるのか

動的平衡2 生命は自由になれるのか – 福岡伸一

生命の本質は、自己複製ではなく、絶え間のない流れ、すなわち動的平衡にある。鮮やかに喝破した前著から2年。生物学の新しい潮流エピジェネティクスは、ダーウィン進化論の旧弊を打ち破るか。動物を動物たらしめた必須アミノ酸の意味とは? 美は動的平衡にこそ宿り、遺伝子は生命に対して、自由であれと命じている。さらなる深化を遂げた福岡生命理論の決定版がついに登場。

この本にも書かれている通り、生物学的に見ても私たちはストローのような存在であり、そこに通したものでできていることが分かります。健康な体を維持するためには、自分の体についての知識を増やすことも大切です。

きれいな“ストロー”を維持するためには、普段の生活の中で、ふと気付いたときに「これは通して良いものか」と一度ジャッジを入れる習慣を持つことです。精神面においても、空気が濁ったら入れ替え、汚れが付いたら洗い流すように、嫌な景色を見たら向いている方向を変えてみましょう。飽きたら移動しましょう。そうやって自分の周りの環境や人間関係を良い方向に変えていくのです。

運命の多くは、突然やってくるのではなく、じわじわと近づいてくるものなのだから。