rightプロパティの説明
CSSのright
プロパティは、位置指定された要素の包含ブロックの右辺からの距離を指定します。これは、対象となる要素にposition
が与えられており、かつその値がstatic
以外の場合に有効となります。
この機能の振る舞いは位置指定の状態に影響を受けます。具体的な特徴は以下の通りです。
position
の値がabsolute
またはfixed
の場合、right
は包含ブロックの右辺からの距離を決定しますposition
の値がrelative
の場合、right
は元の位置から左へ移動する相対距離を表しますposition
の値がsticky
の場合、right
は粘着を開始するしきい値の計算に使われますposition
の値がstatic
の場合、right
は無効になります
位置指定に関するプロパティには以下のものがあり、これを複数組み合わせて使用します。
rightに指定できる値
auto
- 既定値に従います。
left
が指定されていた場合は、その値が採用されます。 <length>
- 包含ブロックの右辺との距離を数値と長さの単位で指定します。一般的にはpxやemを使用します。
<percentage>
- 包含ブロックの幅に対する割合で配置位置を指定します。
rightの使い方とサンプルコード
right
プロパティの構文は以下の通りです。
/* キーワード値 */
right: auto;
/* <length>値 */
right: 10px;
right: -10px;
right: 1.8em;
right: 5vw;
/* <percentage>値 */
right: 10%;
right: -10%;
/* グローバル値 */
right: inherit;
right: initial;
right: revert;
right: unset;
rightの実例
それでは実際にright
プロパティの書き方を見ていきましょう。位置指定の機能は、対象となる要素にposition
が与えられており、かつその値がstatic
以外の場合に有効となります。加えて、position
の値に応じて位置指定の基準が変わるため、ここでは各値の挙動を分けて解説します。
positionの値がabsoluteの場合
position
プロパティの値がabsolute
の場合、right
は自身の右辺と包含ブロックの右辺との距離を表します。位置指定の基準となる場所は、position
にstatic
以外の値が指定された祖先のブロック要素です。
まず初めに、絶対位置の基準がどこにあるのか確認しておきましょう。以下の例は、10px
の境界線と10px
の余白を持つ親要素に、絶対位置の指定を行った子要素を配置したものです。親要素の背景色は、background-clip
プロパティの値にcontent-box
を指定しているため、パディング・エリアは背後の色が透けて見える状態になっています。
子要素の配置は、それぞれ4つの角から10px
の距離を取った場所です。これを見ると、絶対位置の基準はコンテンツ・エリアの縁ではなく、パディング・エリアの縁であることが分かります。つまり、right
の値を0
にすると、包含ブロックの右辺にあたるパディング・エリアの外縁、ボーダー・エリアの内縁に密着します。
サンプルは、resize
に対応しているブラウザであれば、右下のハンドルを掴んでボックスのサイズ変更が可能です。
<div id="samp_box">
<section>
<div id="item_1">1</div>
<div id="item_2">2</div>
<div id="item_3">3</div>
<div id="item_4">4</div>
</section>
</div>
#samp_box {
overflow: auto;
width: 100%;
height: 300px;
padding: 20px;
background-color: #eee;
resize: both;
}
#samp_box > section {
position: relative;
width: 100%;
height: 100%;
padding: 10px;
border: 10px solid #000;
background-color: #fff;
background-clip: content-box;
}
section > div {
position: absolute;
width: 50px;
background-color: #09f;
color: #fff;
text-align: center;
line-height: 50px;
}
#item_1 {
top: 10px;
left: 10px;
}
#item_2 {
top: 10px;
right: 10px;
}
#item_3 {
bottom: 10px;
right: 10px;
}
#item_4 {
bottom: 10px;
left: 10px;
}
以上の内容を踏まえて、絶対位置指定によるright
の挙動を見ていきます。位置指定の状態がabsolute
の場合、要素は通常のフローで配置された要素のレイアウトに影響を与えません。そのため、HTMLのマークアップの順序を気にすることなく、純粋に平面の移動距離によって配置を決定できます。
絶対位置指定で反対側の辺に要素を密着させたい場合は、無理にそのプロパティを使用せずに、対応するプロパティに変更しましょう。right
であればleft
です。right
に100%
を指定すると、包含ブロックから完全にはみ出します。
<div id="samp_box">
<section>
<p>通常のフローで配置された段落。</p>
<div id="item_1">1</div>
<div id="item_2">2</div>
<div id="item_3">3</div>
<p>通常のフローで配置された段落。</p>
</section>
</div>
#samp_box {
padding: 1rem;
background-color: #eee;
}
#samp_box > section {
overflow: auto;
position: relative;
width: 300px;
height: 200px;
margin: 0 auto;
background-color: #fff;
}
section > p {
margin: 1rem 0 0;
padding: 0 .5rem;
border-bottom: 1px solid #eee;
}
section > div {
position: absolute;
width: 50px;
color: #fff;
text-align: center;
line-height: 50px;
box-shadow: 3px 3px 3px rgba(0, 0, 0, .2);
}
#item_1 {
top: 2rem;
right: 2rem;
background-color: #fc605b;
}
#item_2 {
top: 50%;
right: 50%;
margin: -25px -25px 0 0;
background-color: #76fc5b;
}
#item_3 {
bottom: 0;
left: 0;
background-color: #5b96fc;
}
positionの値がrelativeの場合
position
プロパティの値がrelative
の場合、right
は自身が本来配置されるべき場所からの相対的な距離を表します。この機能によって要素が移動した場合でも、隣接する要素は元のレイアウトを維持します。
この機能は、ユーザーのアクションに対して何らかのフィードバックを与えたい時などに有効です。例えば、リンクされた要素をクリックした時に少しだけ位置を移動させることで、そのアクションが有効であることを明示できます。
<div id="samp_box">
<section id="controller">
<label for="move_lt">左上</label>
<label for="move_t">上</label>
<label for="move_rt">右上</label>
<label for="move_l">左</label>
<label for="move_n">元位置</label>
<label for="move_r">右</label>
<label for="move_lb">左下</label>
<label for="move_b">下</label>
<label for="move_rb">右下</label>
</section>
<section id="item_box">
<!--=== 切り替えスイッチ ====-->
<input type="radio" name="s" id="move_lt">
<input type="radio" name="s" id="move_t">
<input type="radio" name="s" id="move_rt">
<input type="radio" name="s" id="move_l">
<input type="radio" name="s" id="move_n" checked>
<input type="radio" name="s" id="move_r">
<input type="radio" name="s" id="move_lb">
<input type="radio" name="s" id="move_b">
<input type="radio" name="s" id="move_rb">
<!--/=== 切り替えスイッチ ====-->
<div>static</div>
<div>static</div>
<div>static</div>
<div>static</div>
<div id="target">relative</div>
<div>static</div>
<div>static</div>
<div>static</div>
<div>static</div>
</section>
</div>
#samp_box {
overflow: auto;
padding: 0 1rem 1rem;
background-color: #eee;
}
#samp_box > section {
margin: 1rem 0 0;
padding: 1rem;
background-color: #fff;
display: grid;
grid-template-columns: 1fr 1fr 1fr;
gap: 5px;
}
section label {
display: block;
background-color: #09f;
color: #fff;
text-align: center;
cursor: pointer;
}
input[type="radio"] {
display: none;
}
section > div {
text-align: center;
line-height: 50px;
border: 1px solid #333;
}
#target {
position: relative;
background-color: #f90;
color: #fff;
}
#move_lt:checked ~ #target {
top: -50%;
left: -50%;
}
#move_t:checked ~ #target {
top: -75%;
}
#move_rt:checked ~ #target {
top: -50%;
right: -50%;
}
#move_l:checked ~ #target {
left: -75%;
}
#move_n:checked ~ #target {
background-color: #999;
}
#move_r:checked ~ #target {
right: -75%;
}
#move_lb:checked ~ #target {
left: -50%;
bottom: -50%;
}
#move_b:checked ~ #target {
bottom: -75%;
}
#move_rb:checked ~ #target {
right: -50%;
bottom: -50%;
}
位置指定された要素が重なる順序
位置指定された要素が重なる場合は、カスケードの優先順位が高い方が手前に表示されます。このように奥行きのある表現は、z軸によって座標を管理します。要素の重なる順序を変更したい場合は、z-index
を使用して下さい。
以下の内容は、ソースコード上で後に書かれた内容が手前に重なって見える状況を確認するものです。
<div id="samp_box">
samp_box
<div id="item1">
item1<br>
・top:30px;<br>
・right:30px;<br>
</div>
<div id="item2">
item2<br>
・top:100px;<br>
・right:100px;<br>
</div>
</div>
#samp_box {
position: relative;
height: 240px;
padding: 5px;
border: 1px solid #666;
}
div > div {
position: absolute;
min-width: 200px;
height: 100px;
padding: 5px;
border: 1px solid #999;
}
#item1 {
top: 30px;
right: 30px;
background-color: #ffcccc;
}
#item2 {
top: 100px;
right: 100px;
background-color: #ccccff;
}