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日本のソーシャルゲームが儲かっている本当の理由

日本のソーシャルゲームプラットフォーム

日本国内では、2009年の後半から凄まじい勢いでモバイルソーシャルゲームの市場規模が拡大しました。そのインパクトは、老舗ゲームメーカーを巻き込み、独自の家庭用ゲーム機を持つ大手企業の不安を煽るまでになりました。

今までゲームなんか作ったことのなかった小さなITベンチャーや、暗中模索していたシステム屋の中には、ソーシャルゲーム開発へ方向転換して、一気に急成長したところも少なくありません。

ネット上では、ソーシャルゲームについて賛否両論ありますが、結果として「いっぱいユーザーがいて、たくさんお金を使っている」というのが現実です。

日本のモバイルソーシャルゲームが急成長した理由を考えれば、ネットで課金ビジネスをする上で参考になります。今回は、そこに興味を持っている人向けのエントリーです。

なぜユーザーは携帯のソーシャルゲームにお金を使うのか

現状の結果を見ても、MobageやGREEのソーシャルゲームをやらない人にとって、「なんでソーシャルゲームにそこまでお金使うの?」という疑問が残ります。

巨大ゲーム企業Zyngaが日本のGREEなどより極端に低利益なのはなぜ?このままでいいの?」という記事が上がるように、日本の現状は少し特殊です。(プラットフォームとデベロッパーの単純比較はできませんが、考察の参考として)

ユーザーがソーシャルゲームにお金を使う要因はいくつかありますが、今起こっている現象は、日本が積み上げてきた「ケータイ社会」の集大成なのかもしれません。

一般的な利用者は、ネットの専門知識を持ち合わせていないので、理屈よりも感情で行動します。消費者の心理には、まず欲求があり、それを邪魔する障害要因が欲求に蓋をしています。欲求レベルが障害を越えるか、何らかの形で障害が取り除かれたときに欲求が実行されます。

ゲームに対する欲求は、楽しみや暇つぶしの快楽です。その快楽を邪魔する障害は「面倒くさい」と「お金を掛けたくない(損したくない)」です。そのため、誰にでも分かる簡単な操作で面倒くささを排除し、無料で遊べるようにしてしまったソーシャルゲームに人が集まったのです。

しかし、人が集まっただけではビジネスになりません。事業として継続するためには、利用者にお金を払ってもらう必要があります。お金の取り方を間違えると、消費者は欲求よりも障害を強く感じるようになるため、結局遊ぶ人がいなくなってしまいます。

それを解決したのが、仮想通貨とケータイ払いの組み合わせです。これが、どちらか一つでは駄目で、両方組み合わさることによって強力な集金システムになります。その理由は2点。「欲求から実現への距離」と「消費と仮想化された消費の距離」です。

優れた集金システム仮想通貨とケータイ払い

欲求から実現への距離

利用者が欲求を実現させるためにお金を支払ってもいいと感じた場合、サービスの提供者は、なるべく早くそれを実現させてあげなければなりません。欲求が衝動的にピークを超える瞬間を逃すと、またお金を払うことを躊躇するモードに戻ってしまいます。

欲求から実現への距離

銀行振り込みやクレジットカード払いが上手く行かない理由は、欲求の衝動でお金を払おうとした利用者の目の前に高いハードルを置いて、越えてみろと言っているようなものだからです。

WebMoneyやBitCashも、クレジットカードを登録する必要があります。わざわざコンビニでプリペイドカードを買いに行って課金する人は少数です。このサービスを理解し、一度でも利用経験がない限り、ハードルが高いと言えます。

つまり、欲求をスタート地点とした場合に、実現というゴールを目指すランナーに対して、どれだけ優しいコースを用意してあげるかが重要なのです。何も障害物がないストレートの10mでゴールなら、小学生でも走れるはずです。

そこでケータイ払いです。自分の使っている携帯電話の会社なので安心です。しかもたった数桁のパスワードを入れるだけで手続きが完了します。さらに、請求は携帯利用料と一緒になります。普段6300円引き落とされている金額が、6800円になってもあまり気にならないでしょう。

ケータイ払いは、欲求と実現の距離を驚くほど短くしてくれる仕組みなのです。

消費と仮想化された消費の距離

MobageやGREE、mixiのソーシャルゲームで課金するには、まず各プラットフォームの仮想通貨(モバコインやmixiポイントなど)を持っていなければなりません。

ユーザーがリアルにお金を使ったという感覚は、仮想通貨を購入する瞬間に感じますが、仕組み的には為替交換したに過ぎず、日本円を「その国(プラットフォーム)」で使える通貨に交換した状態になります。もちろん払い戻しはできないので、実質「購入」という形になります。

一度交換した仮想通貨は、オンライン上のバーチャルな数値としてしか機能しません。ソーシャルゲーム上では、この仮想通貨を使ってアイテムを購入したりガチャを回すことができます。

ここで重要なのが、実際にお金を支払う意思決定をした瞬間と、仮想通貨を消費するまでの間にタイムラグがあるということです。ただでさえケータイ払いでお金を使うリアリティを薄めているのに、さらに仮想化された通貨によって、その数字を消費することの意味を極限まで薄めることができます。そのため、仮想通貨は単なる数値になり、良く分からないゲームでも、「試しにやってみよう」程度で使ってしまうのです。

消費と仮想化された消費の距離

以上のことから、「欲求から実現への距離」は近ければ近いほど良く、「消費と仮想化された消費の距離」は遠ければ遠いほど良い、となります。

この心理の流れは、Suicaチャージやプリペイドカードシステムにも当てはまります。欲しいものが直ぐに手に入る便利さには、一長一短があるものですね。

日本のソーシャルゲームは海外で通用するのか

2012年から、本格的にスマートフォン化、海外展開が進んでいくことになります。日本のソーシャルゲームは海外で通用するのかという議論がありますが、まず経済的に成功を収めたいのであれば、優れた決済システムを持っている必要があるということです。

インターネットで課金ビジネスを成功させるには、気持ちよくお金を使える環境の構築が大事なのです。

個人的には、Appleが銀行を始めたら最強なんじゃないかと思ってますが、いかがでしょうか。

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